元記事著者:Rino 翻訳:葛西祝
日本に夏が本格的に到来し、蝉の鳴き声と共にうだるような暑さがもたらされた。そんな時期で、インディーゲーム開発者が出会い、繋がり、そしてゲーム開発のさまざまな部分を紹介するイベントTokyo Indiesは嬉しい息抜きでもある。今月のTokyo Indiesは京都で開催されたBitSummit Let’s Go!!の盛り上がりの後でさっそく開催されたこともあり、国内外からの参加者が殺到していた。
2023年7月のTokyo Indiesでは次のタイトルが紹介された。
Gumboコレクティブーニューヨークのインディーゲームコミュニティ
Gumboコレクティブはいかにコミュニティを開拓し、コワーキングスペースを作り上げたかの道のりについてをプレゼンした。どんなふうに彼らがニューヨーク全体で一致団結し、インディーゲームの精神を育んでいったかを聞くのはすごく魅力的なことだった。
また彼らは、これまでに日本で経験してきたことも共有し、Asobu(※日本のインディーゲームコミュニティ)やJETRO(※日本と世界の相互貿易と投資の促進に努める政府関連機関)といった日本の団体との異文化コラボレーションにも関心を示している。
Gumboについてより詳しく知りたいならば、Hot Jamにて同団体の一員であるヴィニット・シャー氏のインタビューを含めた記事を見ていただきたい。
『Motion Rec』 – Shouma
ユニークなゲームメカニクスによるへんてこなゲームは目を引かれるので、Shouma氏による『Motion Rec』は本当に自分の好みにぴったりだった。このアクションパズルでは、プレイヤーはちっちゃな丸いやつを操作し、横スクロールの世界をゴールまでナビしていく。
移動とジャンプが基本動作になるが、本作『Motion Rec』(動きの記録)という名の由来は「動きを記録し、再生または逆再生するゲームの機能にある。この機能は届きにくい場所を乗り越えたり、より手際よくアイテムを集めたり、爆弾トラップを避けたりするのに役立つのだ。
『Motion Rec』プロトタイプ版は公式サイトのブラウザにてプレイ可能。プレイ時間はだいたい5~10分ほど。Shouma氏はコンソール版の制作にも興味を示している。『Motion Rec』でより多くのパズルが出てくることを期待している。
『Coiled Hair Girl』ーあーるじぇい
Tokyo Indiesの集まりにて、あーるじぇい氏によるピクセルアートのゲーム『Coiled Hair Girl』が紛れていた。ディズニーの『塔の上のラプンツェル』の主人公による『スーパーマリオブラザーズ』みたいな2Dプラットフォーマーみたいなスタイルのゲームである。
プレイヤーは長い髪に “トリート”という不思議な存在に乗り移られ、髪を動かせるようになった女の子、コイルを操作する。ただし、そうした力と引き換えにトリートはいつもお腹を空かせていて、パンを欲しがっているのをどうにかできるかはコイルにかかっている。
異次元バケツからやってくる、パンを盗もうとするモンスターを相手にコイルの髪はムチみたいな攻撃を放つことができる。コイルの髪はとても万能で、敵の弾をブロックできたり、歯車にひっかけてコイル自身をスイングしたりできる。
開発者のあーるじぇい氏は、特に髪の動きに気を使ったことを明かしている。髪がただコイルにくっついているのではなく、関節みたいにダイナミックな動きができるようにしたかったのだそうだ。
『Coiled Hair Girl』はあーるじぇい氏の公式サイトの他、itch.ioより1ドルで購入してダウンロードできる。
『End of Legends』ーDarkLordDev
永劫の闇の王国を舞台とした、デッキ構築型ローグライク『End of Legends』の暗黒へ足を踏み入れよう。DarkLordGameDevが開発した本作で、プレイヤーはカード形式で影を支配するダークロードを操作する。それぞれのカードは古代の魔法が吹き込まれており、アップグレードによってさらに凶悪となるのだ。
『End of Legends』は2023年のQ4にリリースを予定。Steamストアページにてより詳しい情報が見られる。
『Project Anomaly』ーDARKSCIENCE
『ポケモンGO』と『逆転裁判』が合体したものだという『Project Anomaly』は、2.5Dの一人称ミステリーアドベンチャーゲームである。プレイヤーは探偵帽を被り、超常現象が関係する事件を解決しなければならない。未確認生物の写真を撮り、彼らを助け、話を聞き、加えてそんな神話上の生き物について調べ、謎を明らかにしてゆく。
本作には楽しいカートゥーンの有望なアートスタイルと、ここまでに聴いた音楽は心地よいlo-fiヒップホップの音楽がある。日本の「キョウコツ」やジャワの「ポワン」などの未確認生物を含めることは、多様な文化を紹介するのに最適なのだ。
『Project Anomaly』のデモ版は現在Steamでプレイ可能。また、本作について詳しくはitch.ioの公式ページにて知ることができる。
さまざまなゲームのパブッリッシング ーニキータ・クリュコフ
ロシアの開発者、兼パブリッシャーであるニキータ・クリュコフは、自らの手でパブリッシュする5つのビジュアルノベルのプレゼンで今回のイベントを締めくくった。
まずニキータは最初にmahoumaidenが開発した『REFLEXIA Prototype ver』を紹介。本作はエロゲーを愛する主人公についてのゲームであり、ビジュアルノベルのパロディで幕を開けるのだが、最後には精神的に暗い展開を迎えるのだという。
続いてPurple Tea Studioによる『Kirin Come』は、宇宙の配達業者とそのパートナーの、星々の中での幸福を追求を描くSFコメディビジュアルノベルである。本作はアーリーアクセス中であり、さまざまなストーリー主導のエピソードをホームコメディスタイルで開発中とのことだ。
ベロニカ・オルフェエワ氏が開発している『PROTOTYPE原型』は香港を舞台にした映画的なテクノ・スリラーである。国家的陰謀と、それが社会に及ぼす影響についてのストーリーを語っている。
ctcの『this morning I decided to die』は人生最後の一日を生きる少女の物語であり、本作はきつい精神疾患のテーマにしており、それに苦しむ人が感じているだろう絶望や不安についてを描いている。
もうひとつ、2023年にリリースされるタイトルである『q.u.q.』は砂漠にて巨大な銃を背負い、引きずっている少女が登場するシュールレアリスムの物語だ。本作はレトロなアートスタイルとエモーショナルなサウンドトラックが採用されている。
ニキータ自身は『milk』シリーズ、『Milk inside a bag of milk inside a bag of milk』と『 Milk outside a bag of milk outside a bag of milk』がもっとも知られている。パブリッシングについては、彼はロシアを拠点としている場合、Steamでゲームをリリースするのが難しいかもしれない友人をサポートすることに重点を置いている。
「パブリッシャーをやる前、僕は地元のコミュニティに審査員やスポンサーへ積極的に参加していた。出来る限り才能のあるクリエイターを支援し、コミュニティをサポートしたいと心から思っていたんだ」ニキータはそう言う。彼の今後のゲームと、Steamでのリリースを協力したすべてのゲームについて詳しく知りたい方は、彼のTwitterアカウントをフォローしよう。