インディーゲームコミュニティ「Tokyo Indies」2023年8月のショーケース

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Tokyo Indies key visual

元記事著者:Rino 翻訳:葛西祝

インディーゲームファンは夏の終わりのTokyo Indiesのために熱波をものともしない。いつもどおり秋葉原MOGRAで開催された今回のショーケースには、実にさまざまなジャンルのインディーゲームが集まった。ジャジーなADVやディストピア的なオープンワールド、さらにハンバーガーを宇宙に打ち上げるゲームまで、まさに誰もが楽しめる内容だった。

音楽がテーマのゲーム 開発:フェラン・ベルトメウ・カステルズ

今夜の最初の登壇者はフェラン・ベルトメウ・カステルズだった。スペインの開発者であり、現在は台北に在住している。彼の商業での仕事には『Disney Spellstruck』や『Punch Planet』など、Apple Arcadeのタイトルがいくつかあるが、この日の彼の主要なプレゼンでは音楽をテーマとしたさまざまな開発中のゲームが共有された。

フェランのポートフォリオからは、調律が狂ったロボットが協力して観客を沸かせなきゃならない音楽パズル『Pianobots』、アムステルダムを舞台にジャズミュージシャンを目指し、路上の演奏による投げ銭で生活費をまかなうって音楽サバイバル・シミュレーター『Jamsterdam』が見られた。

いまフェランのもっとも大きな開発タイトルはアーティストのヴァニャ・ムルガン、ミュージシャンのイェンティン・ローとのコラボレーションによる『Off-Score Project』である。本作は5つのゲームを通して語られるストーリーの下敷きとなる、5つの楽曲を収録したインタラクティブな音楽アルバムなのだ。

現在は5曲のうちの2曲、「Copy Machine」と「Elephant Remembers」がプレイ可能だ。前者はコピー機の中の社会で生き延びようと努力する一枚の紙の物語。後者は、過去の行いに悩み、迷い苦しむ象使いの物語である。

が、どうやって『Off-Score Project』をプレイするのだろうか? これは曲の歌詞を聴くことで、プレイヤーは目の前のタスクをこなすように導かれてゆく。3曲目となる「Relativity」は未完成ながら、ミュージックビデオを再生や一時停止、巻き戻しをすることで秘密を暴くというゲームプレイを特徴としているそうだ。

フェランによれば、『Off-Score Project』の課題は各ゲームが比較的短いことだという。「Copy Machine」と「Elephant Remembers」はそれぞれ10分ほどで、ストーリーが語られればおしまいなのでリプレイ性は低い。「Relativity」はもう少し長く、20分ほどになるとフェランは見ている。現在、『Off-Score Project』のチームは、パズルや音楽、実験的なゲームに興味を持つプレイヤーがいるパブリッシャーを探している。

フェランのゲームはitch.ioや、『Off-Score Project』のTwitterアカウントにて開発の進捗の最新情報をチェック可能だ。

『Sunset Moon』開発:RunicCodes

もし『牧場物語』が持つのほほんとした雰囲気がミステリーとディストピアなものに置き換わったらどうなるのか? それが RunicCodesが開発中の小さなオープンワールド『Sunset Moon』の構想なのである。

スウェーデンと日本の文化にインスパイアされた『Sunset Moon』は、プレイヤーが島に到着し、病を患ったおじいちゃんと農場の世話をするところから始まる。ところが、この島の町は見た目通りではなく、主人公はすぐに消えたおばあちゃんのことなどの陰謀が溢れていることに気づくのだ。

『Sunset Moon』は農業や素材集め、地元の人々との交流などのゲームメカニクスは『牧場物語』からたくさん影響を受けている。また本作はNetflixの「ブラックミラー」シリーズから薄ら暗いインスピレーションを得ており、開発者はあらゆるシーンでツイストを効かせたり、予想できないストーリーや変化球のプロットを用意している。その一部には社会階層の形をとっており、キャラの社会的な地位によって住居や栽培できる植物の種類のほか、町の人々とプレイヤーがどう接するかが決まるのだ。

『Sunset Moon』のリリースの日程はまだ発表されていない。しばらくはRunicCodesのTwitterをフォローするか、本作のSteamページから開発者ログをチェックしてほしい。


『Burger Impact: Solar Strike』 開発:Neo Future Labs

たぶんハンバーガーを宇宙に打ち上げるアイディアは、ほとんどの人が思いつかないことだろう。『Burger Impact: Solar Strike』はそんなどうかしてる発想を手元に届けてくれるのだ。Neo Future Labsが開発する本作はオブジェクトを発射して星や敵などの障害物をぶち壊す、物理演算型のシュールでハイスピードな3Dゲームなのである。

「宇宙でやるビリヤードというべきリアルタイム戦闘システム」を唄う本作は、スリリングでアドレナリンを沸き立たせるアクションを提供しつつ、誰でも遊べるシンプルな操作性を実現している。

プレイヤーは宇宙を飛び回るハンバーガーとなり、フライドポテトを救う冒険を繰り広げる。オービットモードでは、プレイヤーは範囲内にあるあらゆるオブジェクトに吸い寄せられながら、自由に周回することが可能だ。

エイミング・シミュレーションという機能では、プレイヤーはショットをシミュレートし、バーガーが跳ね返り、連鎖を起こすだろう場所を予測することができる。その他にグラビティシステムも。オブジェクトによってはバーガーを引き寄せたり、はじいたり、近くのオブジェクトをスピンさせたりすることができる。

ポテト帝国のポテトやケチャップなど、食べ物をモチーフにしたキャラクターも登場する。さらに本作には動物性食品や副産物が一切登場しない「ヴィーガン」モードも搭載されていたりする。

『Burger Impact: Solar Strike』は現在Steemで早期アクセス中だ。本作は東京ゲームショウ2023にも出展される。Neo Future Labsはこのイベントのために全ステージを作り直すつもりであり、たくさんの人が『Burger Impact: Solar Strike』の新バージョンを試遊しに来てくれることを望んでいる。

Tokyo Indiesについて

日程:毎月の第三水曜日

時間:19:00~23:00

参加費:1,500円 (ワンドリンク込み)

場所:秋葉原MOGRA  東京都台東区秋葉原3−11 階 松菱ビル 1階&地下1

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葛西祝
WRITTEN BY

葛西祝

ジャンル複合ライティング。ビデオゲームを中核に、映画やアニメーション、スポーツや格闘技、美術や文学を越境するテキストを作り続けている。